「ゲゲゲの鬼太郎」「河童の三平」「悪魔くん」など、数々の妖怪漫画の傑作を生み出した妖怪漫画界の巨匠、水木しげる先生。先生の故郷である境港の商店街はゲゲゲの鬼太郎、河童の三平、目玉おやじ、ねずみ男など、おなじみの妖怪キャラたちの像がズラリと立ち並び、その名もズバリ「水木しげるロード」と命名されている。まさに水木しげるファンの聖地。
十数年前、水木しげるロードができた頃にも訪れたことがあり、その時も妖怪オブジェのクオリティの高さとズラリと並ぶ光景に感動したものだが、その後「水木しげる記念館」も開館し、新作妖怪オブジェも増えているとのことでひさびさに再訪してみた。
境港駅を一歩降りればそこはもう水木ワールド。駅前から、ゲゲゲの鬼太郎、河童の三平の主要キャラをはじめとする、数々の妖怪キャラたちが出迎えてくれる。
その中には執筆する水木しげる先生の姿も。これは以前来た時は無かった新作。鬼太郎とねずみ男が先生の執筆を見守り、先生も愛するキャラクターたちに囲まれてなんだか嬉しそう。
「もちろんわしもおるのじゃ!」
その他の新作妖怪オブジェもいくつか紹介。
枕返し。昔はマイナーな方のキャラだったと思うけど、あの80年代版ゲゲゲの鬼太郎の吉幾三節炸裂のエンディングで一躍有名キャラの仲間入りに。あれは子供心にちょっと怖いって~~!
悪魔くん&メフィスト。ゲゲゲの鬼太郎、河童の三平と並ぶ妖怪漫画の主役もついに登場!エロイムエッサイム!でも水木しげるロードは全体的に日本妖怪のキャラメインなので悪魔くん関連キャラは少なめかも。(関連妖怪で百目、家獣くらいか)
そして新作オブジェの中でも超お気に入りなのがこれ。
ついにこれまで出たか!サラリーマン山田!
あのメガネの出っ歯キャラを見事に立体化!大爆笑~~っ!!
当初80体でスタートした妖怪オブジェもいまや120体。根強いファンのみなさんの応援によって続々と増えているようで、今後も楽しみだ。
次は「南方妖怪チンポ」あたりをぜひ・・・。(おい)
オブジェだけでなく、街並みだってもちろん妖怪一色。
街灯だってこの通り。目玉おやじ~~!!
お店だってもうノリノリ。この水木しげるロードの素晴らしさは観光施設や土産物屋だけでなく、商店街が一丸となって盛り上げようとしているとこだろう。どこの店も凝ったディスプレイで、一件一件見てるとどんどん気分が楽しくなってくる。

顔出しもあり。でもなんかすごいとこから顔出てますが・・・。

水木しげるロードの中心にあるのが妖怪神社。こちらも2000年に完成。御神体は大きな御影石とケヤキの木で、御影石からはまるで目玉おやじが鬼太郎の目玉から飛び出たように、目玉石と呼ばれる石が飛び出したそうだ。鳥居はよく見ると一反もめんをデザイン。妖怪絵馬などが売られていた。
妖怪系書籍専門店の水木しげる文庫。妖怪系作家の作品が充実とのこと。で、妖怪系作家って誰?と思ったら、水木しげる、荒俣宏、京極夏彦だって。う~ん、最強メンバー!
さて水木しげるロードをさらにずんずん進んでいくと、2005年開館の水木しげる記念館。入口の前には水木先生の少年時代のエピソードを描いた「のんのんばあとオレ」のオブジェがシンボルとして立っている。(以前は水木しげるロードの通り沿いにありましたね)
館内はのんのんばあによるナレーションによって、水木先生の幼少時代から現在の活躍までを紹介するコーナー、妖怪紹介コーナー、民俗資料コレクションコーナー、ゲゲゲの鬼太郎コーナーなどがあり、水木ワールドを堪能できる。
今回とくに面白かったのが「のんのんばあとオレ」の世界を紹介したコーナー。のんのんばあとは先生の少年時代に家で女中として働いていたおばあさんで少年時代の水木先生に様々な妖怪話を話してくれたという。これが先生が妖怪の世界にはまるきっかけとなったのである。その少年時代のエピソードを描いたのが「のんのんばあとオレ」で、このコーナーではその「のんのんばあとオレ」に出てくる妖怪が紹介されている。それはまさに水木先生がリアルに遭遇した妖怪列伝というべきもので、「ゲゲゲの鬼太郎」の世界とはまた違う、人々の伝承の中に語り伝えられてきた「妖怪」というものの真の姿を伝えてくれる。それはもうストレートに怖い。
例えばその中のひとつ「べとべとさん」。夜、暗い道を歩いていると、何もいないのに背後から誰かがつけてくるよう音がする。それが「べとべとさん」で、「べとべとさん、先へおこし」と言うと、その音が消えるそうだ。身近に潜む怪、これぞまさに本来の妖怪の姿であろう。のんのんばあによって語り伝えられたこれらの妖怪談の世界は民俗学的な展示としても、ひじょうに面白いと思う。(下は水木しげるロードのべとべとさん)
水木しげるロードから少し離れて、水木家の菩提寺正福寺がある。こちらにも水木先生のブロンズ像が立っている。こちらも少年時代の先生がのんのんばあに連れられて、寺に伝わる地獄絵を見せられた場所。その炸裂する地獄絵の世界は、幼き先生の心にさぞかしインスピレーションを与えたことだろう。
境港。水木漫画のルーツ、ここにあり。
私たちが忘れかけている何かを思い起こさせてくれる町である。
(2006年9月)