野毛大塚古墳(東京都世田谷区)
田園調布からさらに多摩川を上流にいった世田谷の住宅街にある野毛大塚古墳。玉川野毛町公園の一角に復元整備されている。周囲には復元された円筒埴輪がズラリと並ぶ。
形は前方後円墳の一種で方形部分が小さい「帆立貝式」と呼ばれる形。模型で見るとその形がよくわかる。そしてさらにこの古墳で特徴的なのはもう一つ「造出部」という小さな方形部分がくっついている点だ。
造出部を上から見たところ。いったい何のために設けられたものだろう?
注目すべきは造出部の周囲の円筒埴輪だけは上部がギザギザになっているところ。今までこういう円筒埴輪は見たことがない。説明板によると柵型埴輪と言うらしい。
造出部や柵型埴輪がどのような役割を果たすのかとくに説明がないのでよくわからないが、あえてこうしてギザギザに尖らせているということは明らかに強い「立ち入り禁止」の意思を表示していると思う。つまりこの場は「立ち入ってはいけない場所」であり、何らかの目的のための重要な場所なのだろう。古墳が墓であることを考えれば、死者への供養の儀式のための場所だろうか。そしてこの場に入れるのは生と死の世界を司るシャーマンだけであり、柵は生の世界のものが入らぬように、死の世界のものが出てこないように、その意味をこめて設けたものではないだろうか。
(2006年5月)

