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弁天洞窟(東京都稲城市)

よみうりランド駅近くにある威光寺。境内に入ると一見ごく普通のお寺に見えるが、その奥には赤い橋のかかる池があり、渡った先にはぽっかりと洞窟が口を広げて待っている。それが弁天洞窟だ。
拝観を申し込むと小さな一本のロウソクとマッチを渡される。この灯りのみで真っ暗な洞窟を探検するのである。

Inagi1

洞窟内の地図。説明によれば元々あった横穴石室を掘り進め、明治時代にこのような形になったそうだ。

Inagi2

洞窟内の通路が全体的にカーブを描いたコースになっているのがミソ。洞窟内をただ一直線に進んでいくよりもコースに変化をもたらしている。最初の直線道から折れたカーブの通路をぐるっと回り込めば、そこはまったく外の光の遮断された世界。洞窟を一回りして再び出口に戻ってくるまで一切の光は無い。もちろん洞窟内は電灯はおろか、ロウソクさえ灯っていない。頼りは自分が手にする小さなロウソクの灯りだけ。そしてロウソクの灯りはとても心細く、さっと動かせばたちまち消えてしまう。もしも洞窟内でロウソクの火が消えれば、全く光の差し込まない暗闇の中を延々にさまよわなければならない。マッチは一応あるものの真の暗闇でもう一度ロウソクに点火するのはひじょうに至難の業である。そのためそろそろと慎重に進むことになり、カーブを描く暗闇の中を進んでいるうちに、進んでも進んでもずっと暗闇で、この先には無限の空間が広がっているかのようで、洞窟を実際の何倍もの長さに感じさせるのだ。
さらに洞窟内には石仏群が点在し、そして極めつけに二匹の巨大な大蛇まで!入口の地図を見て、奥にいるのはわかってはいたが、チロチロとしたロウソクの灯りに照らされたその巨大な体はうねうねとうごめいているかのよう・・・、ギャ―――ッ!

洞窟内は本当に真っ暗なので、不安な方は懐中電灯も一応持参してゆくことをおすすめする。ただしあくまでもそれは御守として、忍者部隊月光よろしく「懐中電灯は最後の武器だ!」の精神で、ぜひロウソクの灯りだけで進んでみてほしい。真の暗闇の持つ神秘性を充分に感じることができるはずなので。

Inagi3

ちなみに洞窟内の大蛇を見た瞬間、遠い日に見た「ウルトラマンタロウ」の一場面を鮮烈に思い出した。それは怪獣の行方を追って、洞窟に潜入した隊員が洞窟で大蛇を見て驚くというもの。怪獣の不気味な笑い声が響く暗闇の中に突然出現した大蛇は、子供心に妙に印象に残っていたが、今目の前で目を光らせてこちらを見ている大蛇こそ、まさしくその大蛇なのである。まさかここだったとは!ビックリ~!

(2006年4月)

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